毎年4月と10月は、ラジオ改編の季節。9月も半ばを過ぎて、各局とも少しずつ情報を出してきていますので、ポイントになりそうな番組を見ていきます。今回は首都圏AM編です。なお、情報は2015年9月19日時点のもので、全て揃っているわけではありません。今後、新しい情報が出てきた際には、随時追記していきます。
10月改編は、ちょっと楽しみが増えます
ラジオの改編が4月と10月にある大きな理由の一つは、AMラジオ局の全局が、プロ野球中継を織り込んで番組を編成しているから。
プロ野球のレギュラーシーズンは、3月の終わりに始まって、10月の始めに終了します。
なので、この期間の18時くらいから22時までの時間は、各局共にプロ野球関連の番組が放送されているのです。
逆に言うと、おしゃべりや音楽を中心とした番組が好きで、ラジオを聞いているリスナーにとっては、この時間帯は「聞く番組がない」状態になってしまうわけで(プロ野球も好きな方は別)、
いつも聞いている”お馴染みのラジオ局”が、そんなつれない感じだと、ちょっと寂しいんですよね。
(今年4月の改編については、こちらの記事で扱いました)
それが、10月改編以降は”おしゃべり”や”音楽”の番組に変わるわけで、聞く番組の選択肢が増て、ちょっとだけ楽しみが増えるのです。
ということで、18時から22時のプロ野球中継の枠については、スケジュール通りの変更。
”変更”と言うことで注目したいのは、それ以外の部分ですが、全体で見てみるとニッポン放送の”平日帯番組”、TBSラジオと文化放送の”週末ワイド番組”に大きな変化があり、「しっかり手を入れてきたな」と言う印象を持っています。
それでは、各局の改編状況を見ていきましょう。
TBSラジオ ”土曜朝の顔”が永六輔からナイツへ
まずは、首都圏のラジオ局で”ぶっちぎり”の聴取率1位を獲得し続けているTBSラジオから(2014年6月時点で丸14年連続1位!)。
「土曜ワイドラジオTOKYO ナイツのちゃきちゃき大放送」
TBSラジオで注目せざるを得ないのは、”土曜朝の顔”そして”TBSラジオの看板”でもあった「土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界」を終了させて新たに始まる番組、
「土曜ワイドラジオTOKYO ナイツのちゃきちゃき大放送」
(毎週土曜9時〜13時)
です(タ、タイトル…)。
(出典:TBSラジオ 公式HP)
「永六輔その新世界」としては24年半、「永六輔の土曜ワイドラジオTokyo」(1970年5月〜1975年3月)を含めると約30年、TBSラジオの土曜朝を担当されてきた永六輔さんが退任されるのですから、これは今年秋の大きなニュースになりました。
TBSラジオの皆さんもかなり苦しんで下した決断ではないかと想像しています。
(「土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界」については、こちらの記事でも少し触れています)
そして、その後を引き継ぐのがナイツのお2人。
永六輔さんは、ラジオ界であまりに大きな存在で、後を引き継ぐのは大変ですが、ナイツさんは実力派の漫才師として、知名度も実績も十分にありますし、
ラジオでのしゃべりでも、十分にその面白さを引き出せる実力があることを既に証明もしているので、何の問題もないと感じています。
TBSラジオの”中の人”の人選は的確で、本当に素晴らしいなと。
実は、ナイツさんは2013年3月までニッポン放送の番組(「サンデー知っとかナイツ」(タ、タイトル…))を担当されていて、私もよく聞いていたのですが、これが本当に面白かったのです。
ニッポン放送は、リスクを取って新しい人材を抜擢して、ようやく才能のあるパーソナリティを見つけても、大きな番組を担当させることなく、あっさりTBSラジオか文化放送にプレゼントしてしまうという、不思議な伝統があるのですが、
今もその伝統は続いているようで、今までと同じように、TBSラジオにプレゼントした形になりました。
番組の内容は、中継レポートなどは引き継ぎつつも、ナイツさんの面白さが伝わるような構成になりそうですし、ナイツさん最大のウリであるフリートークの枠も十分に確保されるはずですから、期待は高まります。
リスナーは、かなり高い年齢の方が中心になりますが、ナイツさんが日々舞台で向き合っている観客の年齢層と重なるはずですから、違和感はないでしょう。
これまでとは違う”TBSラジオの土曜朝”が始まるのが、非常に楽しみです。
「六輔七転八倒九十分」
「あー、永さんのラジオ、もうなくなっちゃうのか。寂しすぎる…」と思っていたそこのあなた。
確かに「土曜ワイド」はやめちゃうんですけど、新番組が始まるんです。
しかも、生放送ですよ。
「六輔七転八倒九十分」
(毎週月曜18時〜19時30分)
(出典:TBSラジオ 公式HP)
「土曜ワイド」ファンにとってうれしいのは、永さんと共演者の顔ぶれ。
はぶ三太郎(←お弟子さん)
外山惠理(←孫)
って「土曜ワイド」のテッパンのフォーメーションですよね(あ、実際には、三太郎さんはお弟子さんじゃないし、外山さんは孫じゃないですよ)。
サザエさん一家を見るような、妙な安心感があります。
放送日は土曜から月曜へ、時間は4時間30分から1時間30へ短縮されますが、それでも、毎週の生放送ですから聞き応えがあるはずです。
「土曜ワイド」の後継番組として、存在感を発揮しそうな番組が始まります。
ザ・トップ5
ナイターオフの定番として、今年も帰ってきた「ザ・トップ5」です。
「ザ・トップ5」
毎週火〜金曜18時〜21時
(出典:TBSラジオ 公式HP)
当初は半年で終了する予定だったのですが、好評を博して今年で5年目に入っています。
(リスナーからの反応を大事にして、番組を育てていく姿勢は本当に素晴らしい!)
番組の内容はタイトルの通り、様々な分野の売れ筋トップ5をランキング形式で紹介。
補足情報や今後の見通しなども織り交ぜながら、パーソナリティが自身の視点から好きなことを言い合う、バラエティ番組です。
この番組の良さは曜日ごとに変わる、2人のパーソナリティの掛け合いの面白さ。
番組は継続しつつも、パーソナリティの入れ替えがあるので、今年はどんなコンビが、どんな掛け合いを聞かせてくれるのかが、リスナーにとっての楽しみになっています。
また、この番組からは、すでに人気番組として定着している「ジェーン・スー 相談は踊る」(土曜19時〜21時)のジェーン・スーさんを輩出していることもあり、
「新たな人気パーソナリティの出現」という視点からも注目したいところです。
文化放送 土曜夕方のワイド番組に変化
文化放送は、まだリリースが少ないので2番組だけ(今後追記していきます)。
ビビる大木のBrat!Brat!
土曜の夕方から、新しいワイド番組をスタートさせます。
「ビビる大木のBrat!Brat!」
(土曜18時〜20時)
(出典:文化放送 公式HP)
この番組、3人のレポーターと中継をつないで、放送エリアの街を紹介するのですが、注目すべきは放送時間です。
通常、こう言った街の声や音を拾う番組は、夕方くらいまでの日が出ている時間帯に放送されることが多いのですが、この番組は18時スタート。
レポートは明るい時間帯の方がしやすいと思うので、夕方から夜にかけての中継となると、形ができあがるまでに苦労するかもしれません。
「街や場所の空気を音で伝える」ことを狙うようですが、具体的にどうなるのか、今のところ想像がつかないですね。
中継レポートを絡めた番組は、「全体の進行をどうしても妨げてしまう」のと「スタジオとの掛け合いが上手くいきづらい」のとで、必ずしもプラスに働くとは言えません。
その辺をどうやってまとめるかが、大きなポイントになってくるでしょう。
担当は、ビビる大木さんと足立梨花さん。
ビビる大木さんは、TBSラジオの「たまむすび」で、放送開始から唯一交代してしまったパートナーということで、ちょっと厳しい評価もありますが、
大木さんは、ラジオについて言えば、人に合わせるよりも自分で取り仕切る方が向いていると思うので、メインパーソナリティを担当する今回の番組の方が上手くいくかもしれません。
文化放送がFM放送に合わせて作る新番組ですから、力が入っていることは間違いありません。
どんな番組になるか注目したいと思います。
オトナカレッジ
こちらは軽い紹介だけに留めます。
プロ野球中継の枠に入る、ナイターオフ期間の番組です。
オトナカレッジ
(火曜〜金曜 20時〜22時)
(出典:文化放送 公式HP)
今年で3年目の番組ですが、タイトルの通り大人向けの教養番組です。
取り扱うテーマも、「お金」「健康」「歴史」「教養」といった堅めのものばかり。
放送大学かNHKのE-テレをラジオでやるような感じですかね。
何人かはテレビにも出演する著名な方が、講師として出演するようです。
ニッポン放送 平日夜の帯番組を変更
ニッポン放送からも2番組だけ。
オールナイトニッポン MUSIC10
平日夜の帯番組を変えてきました。
オールナイトニッポン MUSIC10
(月〜木曜 22時から23時50分)
(出典:ニッポン放送 公式HP)
実は、秋の番組改編情報で一番最初に確認したのがこの「オールナイトニッポン MUSIC10」のことでした。
率直にその時の印象を申し上げますと、
「それじゃない」
ニッポン放送もFM放送が始まるので、それに合わせて音楽番組をと言う意向のようですが、「ラジオ」で「音楽」なら、J-WAVE、Tokyo FM、Bayfm、NACK5、FM YOKOHAMAと言った既存のFM局に一日の長があります。
自局の特徴を無視して勝負しようというのは、クリスティアーノ・ロナウドやリオネル・メッシにゴールキーパーをやらせるようなもので、賢明な選択とは言えないでしょう。
AM局に求められているのは、何よりも”パーソナリティのおしゃべり”です。
なのに、音楽を中心にすえて、トークの時間をわざわざ短くして、自分の良さを削り取るようなことをするなんて、あり得ない話です。
(AM局にとっての音楽は、スポンサーの依頼やコーナー間のつなぎのために仕方なく流すような存在であるべきです)
さらに、気になるのがパーソナリティ。
森山良子(月曜日)
名取裕子(火曜日)、松田聖子(火曜日・月1回担当)
鈴木杏樹(水曜日)
斉藤由貴(木曜日)
あまり予算のかけられないラジオの番組としては、異例とも言える、著名な方ばかりを並べた布陣です。
ですが、ここで疑問に思うのは、新しいパーソナリティは「トーク力によって今の地位を築いてきた人達なのか」ということ。
先述の通り、AMラジオはトークが生命線です。
そこで太刀打ちできないと、いくら名前が売れていてもラジオ番組として多くのリスナーを獲得することはできません。
残念ながら、発表されたパーソナリティの一覧を見てみると、「トークで聞かせる」ことを理由に選ばれているようには思えず、
ただ「著名な人をブックする」事を優先した人選にしか見えないのです。
まあ、ニッポン放送にはずっとこのような傾向があって、「ビッグネームをブックしておけば、企画や台本でなんとかなる」と言わんばかりの雑な番組がままあるので驚きはしないのですが、
「相変わらず迷走してるな」という印象が、今回の改編でも拭えないまま、時間が過ぎて行くのが「ちょっともったいないな」と思うだけです。
と言うことで、
・得意としていない”音楽”番組であること
(既存FM局との相対的な得意、不得意を考えた場合)
・パーソナリティのトーク力に疑問が残ること
(もちろん、選ばれたパーソナリティの皆さんに一切の非はありません)
この2点で「オールナイトニッポン MUSIC10」には疑問を持っています。
なお、これまでオールナイトニッポンGOLDを担当してきた、宮藤官九郎さんは月1回金曜のこの時間を担当することが決まっています。
それ以外の方の去就は今のところ発表がない状態です。
今夜もオトパラ!
プロ野球中継の後枠に入る番組です。
「今夜もオトパラ!」
(月〜金曜日 17時30分〜20時50分)
(出典:ニッポン放送 公式HP)
こちらは、昨年のナイターオフ期間にも放送されていた番組で、2シーズン目を迎えることになりました。
月曜から木曜のパーソナリティは、昨年同様、上柳昌彦さんと松本秀夫さんですが、金曜は六角精児さん煙山光紀さんのコンビから、八嶋智人さん荘口彰久さんのコンビに変わっています。
この番組は、AMラジオらしいラジオ番組で、ちょっとマニアックな話題を扱ったり、クセのあるゲストを招いたり、マイナーだけど確実に面白い話題を拾っていくバラエティー番組です。
上柳さんがマニアックな話題を扱うバラエティとなると、「タモリの週刊ダイナマイク」を思い出すんですよね。
そしてこの番組、ちょっと「ダイナマイク」のテイストを残してもいて、ダイナマイクリスナーとしては、激しく反応せざるを得ないのです。
今年からは荘口さんも加わると言うことで、ますます「ダイナマイク」に近づくと言うことで、リスナーにとっては嬉しい限り。
(荘口さんの頭の良さと面白さも「ダイナマイク」で知った気がします)
レギュラー化を切に願いたい番組の一つでもあります。
まとめ
秋の改編は、TBSラジオの土曜の朝と、ニッポン放送の平日夜のワイド番組に注目です。
おまけ
タモさん、ラジオやってくれないかなぁ。