中京圏のラジオ聴取率が発表されました。中京圏のラジオ聴取率調査は、6月と12月の2回。それだけに重要な意味を持つのですが、その調査結果は局によって内容に違いがあり、疑問の残るものでした。
ZIP-FM発表の調査結果を基に調査結果を分析
中京圏のラジオ聴取率については、こちらの記事でも扱いました。
この記事で利用しているのは、ZIP-FMオフィシャルサイトの「ZIP-FM SALES INFORMATION」にある、聴取率&マーケティングデータで公開されているデータ。
2015年6月の聴取率調査のについても、データの継続性を考えて、ZIP-FMのデータを基に分析していきます。
まずは、全体の結果から。
全日聴取率の結果
聴取率、順位、ともに前回からほとんど変化がありませんね。
今回もZIP-FMが首位をキープです。
ZIP-FMに続くのはCBCラジオ。
ZIPとCBCは、聴取率で首位を争うライバル同士ですが、ここ数年は、「CBCの激しい追い上げを僅差でZIP-FMがかわす」という展開でしたが、今回もその流れに沿った結果でした。
その次に来るのが東海ラジオと@FM。
東海ラジオは三重、岐阜エリアで強いAM局、@FMは「エフエム愛知」の愛称で、TOKYO FMをキー局としたのJFN系列のFM局です。
今回の調査で最も熱かったのが、この2局の争い。
東海ラジオと@FMも、ZIP-FMとCBCの首位争いと同様に、熾烈な3位争いを続けていて、順位についてはこれまで通り「3位東海ラジオ」「4位@FM」。ただし、その差はたった0.1%に迫りました。
「いよいよ@FMが東海ラジオに並ぶ」というところまできたようです。
急に変化したわけではなく、時間をかけてじわじわと差を詰めてきた結果ですから、この傾向を覆すのは難しいかもしれません。
このまま@FMが聴取率3位の座を獲得できるかが、次の聴取率調査(12月実施予定)の注目ポイントです。
そして、ようやく、ようやく聴取率に灯がともったのがINTER FM NAGOYA(10月からは名称を「RADIO NEO」に変更予定)。
2014年の4月に開局してから実施された2回の聴取率調査の結果はいずれも0%。
それが今回の調査ではようやく聴取率が記録されることになりました。
中京圏では、2010年にRADIO-iが閉局して以来の外国語放送局。
このままリスナーを増やし、地元に根付いたラジオ局として存在感を増してもらいたいと思います(ラジオ局の終了って結構切ないんですよね)。
最後に、今回の調査を加えた、ラジオ局別の聴取率の推移を見ておきましょう。
前回からの変化は小さいですが、過去からの推移では、細かい変化が継続して見られますので、今後も首位を争うZIPとCBC、3位を争う東海ラジオと@FMの動きには注目です。
時間帯別の聴取率
続いて、時間帯別の聴取率。
午前の時間帯(7時から12時)です。
全体的に下落傾向にありますが、唯一、ZIP-FMが前回の2.0%から0.2%上昇。以前の水準に戻しています。
これで、順位もCBCとZIPが並んで同率の1位になりました。
次に、午後の時間帯(12時から18時)。
ここは前回からほとんど変化がありませんが、過去からの推移を見ると、CBC、@FMの上昇傾向、東海ラジオの下降傾向は変わらず続いていることが分かります。
1つ分からないのがZIPの不安定ぶり。
全体としては下降傾向にあると思うのですが、微妙に上昇することもあり、今後どうなるかは気になる所です。
CBCラジオは着実に上昇していますから、今後は、首位の入れ替わりの可能性もあります。
最後に、夜間の時間帯(18時から24時)
特徴的なのは、CBCラジオと東海ラジオの聴取率が上がっていること。
この時間帯は両局ともプロ野球中継を放送しているのですが(驚くのは同じカードを中継しているところ!)、12月よりも高い聴取率を記録しているので、リスナーの野球(ドラゴンズ)への関心がいかに高いかがよく分かります。
ZIPでは「ZIPが1位」、CBCでは「CBCが1位」 どっちが正しいの?
分析も終了したので「まとめ…」、といきたいところなのですが、思わぬ事態が。
今回の聴取率調査の記事を書こうと思ったきっかけが、CBCラジオの「北野誠のズバリ!」の中で誠さんがおっしゃっていた「CBCラジオが聴取率1位を獲得しました!」との発言。
過去の記事で、「そろそろCBCとZIPの順位が逆転するかも」と予想していたので、「いよいよその時が来たかー」と裏付けを取るためにデータを集めたのですが、CBCラジオのHPを開くと、
(CBCラジオ オフィシャルサイト)
確かに、局として1位と宣言しています。
それに対して、ZIP−FMのサイトを開いて見ると、
(ZIP-FMオフィシャルサイト 「ZIP-FM SALES INFORMATION」)
これまた1位と宣言しているのです。
ひょっとして、調査期間が違っていたり、調査対象(年齢別や時間帯別)による違いかと思って、確認してみますが、
調査したのはビデオリサーチ社で共通ですし、調査期間も調査対象もほぼ同じです。
にもかかわらず、両方の局が総合1位を宣言していると言うことで、いったいそこにどういう”からくり”があるのか…。
確かに、調査対象時間で、ZIPが7時から24時なのに対して、CBCが5時から29時と、深夜12時から5時の時間帯を含んでいるところと、
対象年齢のところで、CBCが70から74歳のリスナーも含めていて、サンプル数が若干多い点で異なるので、ここの数字をどう扱うかによって、調査結果が変わってくるのかもしれません。
ただ、せっかくの聴取率調査ですので、
「公平な条件の下で、出てきた結果をそのまま公表する」
のがいいのではないでしょうか。
ラジオについて数字のデータが公表されれば、「面白い」「つまらない」という主観以外の”議論の軸”をリスナーに提供することになり、リスナー間での議論が活発になることで、結果的に、ラジオ界への関心が高まることにつながるように思うのです。
聴取率の低い局にとってはつらいことかもしれませんが、ラジオ界全体のパイを増やすことこそが、全てのラジオ局にとって意味のあることですから、そのきっかけになるかもしれない、聴取率を、フェアな条件の下で公開することには、どのラジオ局にとっても意義があるのではないでしょうか。
少なくとも、「我こそがNo1だ」という局が複数あることは、健全ではないので(もちろん同率の場合はOK)、条件を揃えて各局同士の比較ができる聴取率の公開をお願いしたいところです。
まとめ
中京圏の聴取率は謎。
おまけ
顧問契約のお客様とコンサルティングのお客様にお渡しする、財務分析シートの改善を進めています。
「利益の重要性」と「それを増やすためのヒント」をつかんでいただけるようなシートすることが目標です。