プロサッカークラブにとってメディア戦略は、クラブの人気や知名度向上のために重要な要素。私たちファンにとって比較的身近なSNSについて、J1リーグの各クラブの利用状況を調べてみました。
SNSごとのアカウント取得状況
まずは、SNS別のアカウント取得状況です。
SNSにもたくさん種類がありますが、広く利用されている、Twitter、Facebook、LINE、YouTube、Instagramの5種類について、J1リーグに所属する18クラブの利用状況を調べました。
なお、データは2015年8月14日時点のものを使っています。
結果は次の通りです。
TwitterとFacebookはほとんどのクラブがアカウントを取得しているのが分かります。
公式アカウントがないのは、ベガルタ仙台のTwitter、モンテディオ山形のFacebookです。
Lineについては、10クラブがアカウントを取得。
アカウントがないのは、鹿島、柏、ガンバ、浦和、横浜FM、甲府、清水、山形、の8クラブです。
動画には各クラブ力を入れていて、YouTubeの公式チャンネルがないのは、柏、浦和、清水の3つだけ。
ただ、浦和には「REDS TV」、清水には「Orange TV .JP」があり、YouTubeの公式チャンネルを補う動画サイトを持っていますから、公式の動画サイトがないのは柏だけということになります。
最後にInstagramですが、残念ながら、アカウントを取得しているクラブは非常に少ないです。
TwitterでもFacebookでも画像が上げられるので、それで事足りるということだと思いますが、Instagramを利用している選手も多いので、クラブがファンとの接点を増やすためには、利用する価値のあるメディアと言えるでしょう。
アカウントを取得しているのは、川崎、FC東京、浦和、横浜FM、の4クラブです。
次に、SNS別の各クラブの利用状況を見ていくことにしましょう。
Twitterの利用状況です。
各クラブのアカウントについて、ツィート数、フォロワー数、ホームタウンの人口に対するフォロワー数について調査しています。
なお、Twitterアカウントを取得していない仙台は除いています。
ツィート数
ツィート数は次のようになりました。
ここは前年度昇格組の山形、湘南、松本山雅、の3クラブが上位に来ているのが特徴的です。
SNSはテレビなどの大きなメディアと違って、発信にあまりお金がかからないので、スモールクラブこそ積極的に利用するべきだと思いますが、
この3つのクラブは、SNSに価値を見出して、積極的に利用しているようです。
1位2位、3位から6位、7位以下で大きく差がありますので、クラブによって温度差が大きいことが分かります。
フォロワー数
フォロワー数は、次のようになりました。
FC東京が1位です。
ホームタウンの規模が大きく影響しているようですが、それ以外にも、アカウントを取得が遅かったクラブ(神戸など)は、アカウント開設の事実を知らないファンも多く、フォロワーが伸びていないという事情もあります。
それにしても、上位3クラブと、それ以下のクラブの間には大きな差がありますね。
ホームタウンの人口に対するフォロワー数の比率
先ほども触れましたが、フォロワーの数はホームタウンの規模の影響をうけることになります。
そこで、ホームタウンの人口に対するフォロワー数を求めて、ホームタウンの規模の影響を考慮したフォロワー数も見ておきます。
たとえば、
クラブが定めているホームタウンの人口が100万人
フォロワーの数が1万人
であれば、
1万人 ÷ 100万人 = 1%
として、ホームタウンの人口の何%にあたる人が、クラブのTwitterアカウントをフォローしているかを求めています。
その結果がこちら。
今度はホームタウンの人口の影響がモロにでて、フォロワー数では下から3番目のサガン鳥栖が1位になりました。
一方で、東京都全域をホームタウンにしているFC東京は、フォロワー数では1位でしたが、ホームタウンの人口に対する比率では下から2番目までに下がってしまいました。
東京都全域を本気でホームタウンにしようと考えているなら、現在のFC東京では、まだ物足りないということですね。
反対に言うと、それだけ成長の余地があると言うことですので、今後に期待です。
参考までに、各クラブのホームタウンの人口を載せておきます。
次は、Facebookです。
「いいね!」
Facebook公式ページに記録された「いいね!」数を調べました。
結果は次の通りです。
Twitterとはまた違った結果になっています。
両方を並べてみましょう。
「フォロー」と「いいね!」は、同じ性質のものではないので、比較することにあまり意味はないかもしれませんが、
クラブによっては情報発信のウエイトを変えていたり、TwitterとFacebookでアカウント取得のタイミングが違っていたり、することが影響を与えているのかもしれません。
ホームタウンの人口に対する「いいね!」の比率
ホームタウンの人口に対する、「いいね!」の比率です。
ホームタウンの人口が少ないサガン鳥栖はダントツのトップですが、それ以外のクラブは、あまり差がないのが特徴ですね。
Line
次はLineです。
Twitter、Facebookよりも後発ですが、国内のユーザー数ではその2つを上回っているLINE。
ただ、チャットやスタンプでのコミュニケーションをメインに発展してきたので、公式アカウントの展開はそこまで浸透していない印象です。
各クラブの公式アカウントで「友だち」登録されている数を調べました。
結果は次の通りです。
アカウントを取得しているクラブ自体が少ないのですが、数としてはFacebookの「いいね!」に近いです。
Twitter、Facebookで目立たなかった川崎が1位なのと、FC東京が下位にいるのが特徴的です。
ホームタウンの人口に対する「友だち」の比率
ホームタウンの人口に対する「友だち」の比率です。
FC東京はますます厳しくなりそうですが、結果は次の通りです。
やはりFC東京は大きく沈んでしまいました。
全体的に低い比率で留まっていますが、Lineは使うことの多いアプリですので、アカウントの存在が広く認知されれば、自然に数字は伸びてくるでしょう。
YouTube
次は動画サイト、YouTubeです。
動画は、クラブに関心がある人に対して、大きなアピールが期待できるコンテンツです。
そのため、各クラブは動画配信に力を入れているのですが、YouTubeで開設している公式チャンネルの登録数はどうなっているのでしょうか。
登録数
結果は次の通りです。
Twitter、Facebook、Lineと比べると、かなり少ないですね。
YouTubeのユーザー数が少ないのか、YouTubeで登録を利用する方が少ないのか、理由はよく分かりませんが、新規の動画をチェックする方は少ないようです。
最後にInstagramです。
アカウントを取得しているクラブが少ないので、フォロワーの数だけ載せておきます。
「他のSNSで手一杯で、Instagramまで構っていられない」というクラブがほとんどだと思いますが、規模の大きなクラブはアカウントを取得していて、フォロワーもそれなりに伸ばしています。
海外では、Instagramに画像を上げる選手も多くいますので、日本にもその流れが来るかもしれません。
ヨーロッパのビッグクラブのSNS
J1のクラブと比較するため、ヨーロッパのビッグクラブのSNSについても見ておきましょう。
どのクラブも「さすが!」と言うほかない数字です。
J1リーグとの比較で注目したいのが、Instagram。
ヨーロッパではInstagramのユーザーが多いこともあって、Instagramのフォロワー数がかなり多いです。
「もう定着している」と言えるレベルですので、日本にもこの流れが起きる可能性は高いでしょう。
ですので、日本のクラブも、ヨーロッパのクラブのInstagramの使い方を参考にしながら、早めに取り入れるのが良いのではないでしょうか。
もう一つ注目したいのが、YouTube。
ここで挙げた5つのクラブは、動画サイトどころか、TVのチャンネルまでもっていて、自前で番組制作してしまうような、とんでもないクラブなのですが、それでもYouTubeにも公式チャンネルを作って動画を配信しています(ユナイテッドを除く)。
このような、「露出の機会を少しでも多く」という姿勢が徹底されているところに、クラブの”本気”を感じます。
さらに、マンチェスター・ユナイテッド、FCバルセロナ、レアルマドリーについては、Lineの公式アカウントまで取得しています。
これは、これらのクラブが対アジア戦略をいかに重視しているかを物語る現象で、ヨーロッパではマイナーでも、アジアで強いSNSとしてLineをしっかりおさえています。
まとめ
J1に所属するクラブは、Twitter、Facebookを中心にしてSNSを利用していることが分かりました。
ただ、ヨーロッパのクラブと比べると、InstagramとYouTubeがファンに浸透していないので、今後、強化すべきポイントになりそうです。
おまけ
昨晩は去年の夏以来、久しぶりに嶋野百恵さんのライブに参戦。
たばこの煙に苦戦しましたが、本当に少人数のライブで、存分に楽しめました。
KOHEI JAPANとの「夜明け前」が聞けたのは、かなり貴重な経験でした。ラッキー。