ドイツの鬼軍曹フィリックス・マガトさんがリーグ戦を面白くする方法として、
「”0-0”を勝ち点ゼロにする」ことを提案していたので、早速、昨年のJリーグの結果に
当てはめてみることにしました。
ブンデスリーガは退屈?
フィリックス・マガトさんは、軍人…ではありません。
サッカーの監督でドイツ人。
ドイツの名門、バイエルン・ミュンヘンを率いてドイツリーグ(ブンデスリーガ)や、
カップ戦(DFBポカール)などのタイトルを獲得した名将です。
(評価は分かれますが、バイエルン・ミュンヘン、ヴォルフスブルクからオファーを受け、
タイトルも獲得している事実からすると間違いなく名将です)
最近では、Jリーグのサガン鳥栖からオファーを受け、
就任目前でキャンセルしたことでも話題になりました。
(その後、鳥栖はマッシモ・フィッカデンティ監督とサイン。これはラッキー!)
そんな、マガトさんが最近、ドイツの雑誌に寄稿していて、
その中でリーグ戦を面白くする方法を提案していました。
どうも、マガトさんにとっては最近のドイツのリーグ戦はつまらないらしく、
一発勝負(トーナメント)のカップ戦の方がお気に入りの様子。
「ちんたらやってるリーグ戦なんかつまらないんだよ!」
「根性出してみろ、おまえら!!」
と鬼軍曹らしい言葉があったかどうかは知りませんが、
(マガトさんの指導は軍隊式と言われています)
「リーグ戦も、もっと攻撃的になるべきだ」
という考えを持っているみたいです。
そこで提案しているのが、
”0-0”の引き分けを勝ち点ゼロにする
こと。
現在のルールでは、引き分けはスコアにかかわらず勝ち点1。
それを”0-0”の引き分けに限って勝ち点をゼロにすることで、
最初から”0-0”の引き分け狙いのチームが無くなり、より攻撃的な試合が増える、
という考えです。
「それなら」ということで、「”0-0”の引き分けがリーグ戦の勝ち点に与える影響」を
昨年のJリーグでの成績に当てはめて調べてみることにしました。
J1リーグはほとんど影響なし
まずは、J1リーグから。
2015年のJ1リーグは所属クラブが18で、総試合数が306。
そのうち、”0-0”の引き分けになった試合は23で約7.5%。
決して多くはないように思いますね。
J1リーグは2ステージ制ですが、比較しづらいので年間順位で、
影響を確認します。
2015年J1リーグの年間順位はこちら。
(参照:jleague.jp 「成績・データ」)
このリーグテーブルから、0-0の引き分けになった試合の「勝ち点1」を
マイナスします。
その結果がこちら。
順位の変更があったのは、11位のサガン鳥栖と12位のヴィッセル神戸のところだけ。
他には影響がありませんでした。
J2はかなり変動がある
「なんだよマガト…」って感じですが、J2では大きな変動がありました。
2015年のJ2リーグに所属したクラブの数は22で、総試合数は462。
そのうち、”0-0”の引き分けになった試合は46で約10%。
J1リーグより2.5%も高くなっています。
2015年のJ2リーグの年間順位はこちら。
(参照:jleague.jp 「成績・データ」)
このリーグテーブルに、0-0の引き分けになった試合の「勝ち点1」を
マイナスします。
すると、
かなり変化があるのが分かります。
特にポイントになるのは、年間順位7位だったギラヴァンツ北九州が、
6位になりJ1昇格プレーオフ圏内に入ってくること。
実は、ギラヴァンツ北九州は、2015年のJ1、J2全クラブの中で、
唯一「0-0の引き分け」がないクラブだったんです。
ということで、年間の勝ち点と「”0-0”の引き分けの勝ち点ゼロ」に
した時の年間の勝ち点が同じになるので、相対的に順位が上がることになりました。
反対に、「”0-0”の引き分け」が多かったファジアーノ岡山(8試合)や
カマタマーレ讃岐(9試合)は順位が下がります。
予算の少ないクラブは、”堅守”でしぶとく勝ち点を拾う必要がありますから、
「”0-0”の引き分けの勝ち点ゼロ」はかなりきついですね。
(讃岐は仕方ないとして、予算を考えるとファジは物足りないです。もっと得点を!)
ルールを変えることで、姿勢と行動は変わる
シミュレートした結果を見てみると、「あんまり変わらないかなぁ」と言うのが、
正直な感想なのですが、マガトさんが言っているのは試合への姿勢で、
最初から「”0-0”の引き分けの勝ち点ゼロ」のルールでリーグ戦がスタートしたら、
得点を積極的に狙うようになるということ。
このようなルールで「攻める意識」や「得点へのこだわり」を持つクラブが
増えてくることは間違いないと思います。
現時点ではこのルールが採用されることは無いと思いますが、
「ルールによって姿勢や行動が変わるのではないか」という観点は、
重要だと思います。
やることは同じでも、そこにどんなルールを採用するかで、
そこに参加する人の意識は変わり、行動も変わります。
これはサッカーのような競技だけではなく、個人にとっても同じです。
たとえば、同じ仕事を任されても、期限や品質をどこに設定するかによって、
仕事の中身は変わってきますし、
何かの試験を受ける場合でも、ただ合格することを目標にするのか、
上位の順位で合格することを目標にするかで、勉強の中身が変わってくるでしょう。
もし、「何かを変えたい」と思うなら、自分の中で新しいルールを採り入れることを
考えてみましょう。
”退屈”と感じていることが面白くなるかも知れません。
まとめ
新しいルールを採り入れることで、”姿勢”や”行動”に影響が出ます。
何かを変えたいときは、自分なりのルールを採り入れることを考えてみましょう。
おまけ
昨日は確定申告について個人のお客様と打ち合わせ。
控除に関しての説明が中心でしたが、ご自身で勉強されている上に、
資料をきちんと揃えていらっしゃったので、スムーズに進みました。