「おー、こんなんがタダで使えんのかー!」。ネット上では、高品質でありながら無料で利用できる画像がまとめられたサイトがあります。無料なのはありがたいですが、「無料=著作権を放棄している」と言うわけではありません。著作権の一部を保護した上で、利用を認めているケースも多くあります。「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」は、著作権の一部を保護した上で、幅広く作品の利用を認めようとする著作権のルールです。
著作権保護のメリット、デメリットと 「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」
本や音楽、絵画、写真、映画など、人が生み出した創作物は、「著作権法」によって保護されています。
人が作ったものを、自分のもののように扱ったり、勝手に利用してお金儲けしたりすることが認められないのは当たり前のこと。
「著作権法」は、そんな”作り手”の名誉やお金を守るための法律です。
”作り手”の権利のために不可欠な「著作権法」ですが、デメリットもあります。
それは、著作権法の縛りがキツすぎるせいで、作品や作者の名前が浸透しづらいことです。
本でも音楽でもそうですが、著作権法で保護される”作り手”の権利は、
芸術的な価値や、作者の知名度など全く関係なく、作品が完成した瞬間から発生します。
なので、仮にネット上で気に入った作品があり、自分のブログなどで紹介したいと思っても、
「あ、著作権法にひっかかる」
と考えて取り上げるのを止めてしまいます。
(もちろん、作者に連絡して許可をもらえば問題ないわけですが、それでも、法律が関わりますからね。
「言った」「言わない」で後から文句言われるのも困りますし、なにより面倒です。)
著作権法のルールやその目的からすると、それでも良さそうですが、
「これから自分の名前と作品を知ってもらって、もっとメジャーになりたい!」
という作者にとっては、「著作権法」が自分と作品をアピールする機会を奪うことにもなってしまうのです。
こうなると、作者は
・著作権法によって”著作権(=作品を作った人の権利)”を保護する代わりに、
自分や作品をアピールする機会が減ることを受け入れる
・”著作権”を放棄して広く使ってもらう代わりに、作者としての利益を諦める
のどちらかしかありません。
ただ、これはさすがに極端すぎです。
そこで、「この条件だけ守ってくれれば、自分の作品を自由に使ってもらってOKです」と作者が意思表示することによって、
作品を幅広く利用してもらえるようにするための仕組みが整備されています。
その仕組みの一つが、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」です。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの仕組み
写真素材をまとめているサイトでこのようなマークを見たことはないでしょうか。
(出典:creative commons Japan HP)
意識して見ていると写真のダウンロードページなどで、よく表示されています。
このマークがある作品は、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」の仕組みを利用していることを意味しています。
先述の通り「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」は、
「この条件だけ守ってくれれば、自分の作品を自由に使ってもらってOKです」と作者が意思表示することによって、
作品を幅広く利用してもらえるようにするための仕組みのこと。
「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」では「この条件だけ守ってくれれば、…」の条件として4つの項目を設定しているので、
作者はその中からいくつかを選ぶことで、”守ってもらいたい条件”の意思表示をすることになっています。
これが、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」の仕組みです。
なので、ネット上の作品に、
(出典:creative commons Japan HP)
このマークがある場合には、その条件を確認して、それを守った上で使えばOKです。
条件が英語で書かれていることもありますが、上の4つのどれかに当てはまることを頭に入れておけば、判断できるでしょう。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの4つの条件
先ほど出てきた4つの条件についてもう少しだけ見ておきましょう。
表示
まず、「表示」です。
これは、画像などを使用する場合に、ハッキリと分かるように作者や作品の名前を表示することです。
「©2015 △△」などの表示を見たことがあると思いますが、このような表示を加えて利用することになります。
非営利
次は「非営利」。
これがあると、ビジネスを目的として利用することができません。
会社はもちろん個人事業主のHPなどで利用することはできないので、個人での利用がメインになります。
改変禁止
改変禁止です。
元の作品を加工したり、一部を取り除いたりして利用することを禁じます。
元の作品のイメージが変えられないようにするためです。
継承
継承です。
これは、もとの作品で設定された条件である場合に表示されます。
この中で特に多いのは、「表示」です。
「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」を使っている場合は、ほとんど「表示」は求められていると思いますので、それ以外の条件がないかもよく確認しておきましょう。
まとめ
ネットで利用できる無料の写真素材は、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」の仕組みで「著作権」と「作品の流通」の両方を確保しているものが多くあります。
使用の条件にどのようなものが挙がっているかを確認した上で、使用するようにしましょう。
おまけ
注文していた書籍が続々と到着。
気合いを入れないと、読み終わらなそうな厚さの本もあるので、週末は読書でつぶれそうです。