Jリーグはシーズンの後半を迎える7、8月に、監督の解任がよくおこります。クラブがどのようにその事実を伝えているのかを調べてみました。
2016シーズンも、すでに4人の監督が解任
7月が終わって、Jリーグはすでにシーズンの後半に差し掛かっています。この時期になると各クラブの明暗がハッキリと別れ、不調のクラブは変化を求めて動き始めます。
主に新しい選手の獲得によってチームを強化することが多いですが、根本的なところから立て直しが必要と考える場合に選択するのが、監督解任です。
2016年もすでに、4人の監督が解任されています。
Club | 日付 | 解任 |
---|---|---|
ジェフユナイテッド千葉 | 7月25日 | 関塚隆 |
FC東京 | 7月24日 | 城福浩 |
FC岐阜 | 7月22日 | ラモス瑠偉 |
柏レイソル | 3月12日 | ミルトン・メンデス |
中でも、FC東京の城福監督、柏レイソルのメンデス監督は今年の4月就任ですから、1年を待たずしての解任。サッカー監督の仕事の難しさを感じずにはいられません。
ただ、監督のシーズン途中の解任は、
2015年:13回
2014年:13回
2013年:8回
2012年:14回
※監督代行の解任を含む
このように10回以上起こることが多く、今後もいくつかのクラブで解任される監督が出てくることが予想されます。
クラブに大きな影響を与える監督の解任。
そのニュースはクラブを取り巻く人々にとっても大きな関心事です。
クラブはその事実をどのように伝えているかを調べてみました。
最も丁寧な監督解任のプレスリリースのひな形
監督解任のリリースは各クラブのオフィシャルサイトで掲載されます。
2014年から2016年シーズンまでの監督解任のリリースを調べてみると、大まかなフォーマットが決まっていることが分かります。
まずは、もっとも丁寧な監督解任のプレスリリースからご紹介しましょう。
2014年8月31日に大宮アルディージャが大熊清監督(現セレッソ大阪監督)を解任したときのプレスリリースです。
(出典:大宮アルディージャ オフィシャルサイト 「ニュース 2014.08.31」)
縮小していて分かりづらいので、もう少し分かりやすい形でまとめてみると、
こうなります。
ここまでしっかりしたリリースを出せるクラブは、スポンサーやファン・サポーターなど、クラブを外からサポートしている人々の気持ちに配慮している分かりますし、解任した監督に対しても誠実に対応していることが伝わってきます。
また、私が特に重要と感じるのが⑥監督コメントと⑦社長・GMコメント。
「⑥監督コメント」は、スポンサーやファン・サポーターに対する最後のあいさつを正式に行うという意味がありますし、監督コメントがない場合、最後の最後でクラブが前監督をぞんざいに扱っているような印象を与えてしまいます。
そして、「⑦社長・GMコメント」は現状認識、解任の理由、今後の方針を表明することで、責任の所在の明確化と今後の展望を伝えるという意味で重要です。
この2つが掲載されていないリリースは、「逃げ腰」「無責任」と言った印象を受けます。せっかく一般向けにリリースするのですから、できるだけ良い印象を持たれるように工夫すべきですが、そこまでは意識しているクラブは多くないようです。
監督解任リリース 4つのフォーマット
先ほど挙げた大宮アルディージャのリリースは最も丁寧なフォーマットでしたが、他にどのようなフォーマットがあるか分類してみました。
1.本文&経歴のみ
監督解任のお知らせと、監督の経歴のみという、最も簡単なフォーマットです。
<例>
ベガルタ仙台:2014年4月 グラハム・アーノルド監督
ジュビロ磐田:2014年9月 シャムスカ監督
東京ヴェルディ:2014年9月 三浦泰年監督
大分トリニータ:2015年6月 田坂和昭監督
鹿島アントラーズ:2015年7月 トニーニョ・セレーゾ監督
セレッソ大阪:2015年11月 パウロ・アウトゥオリ監督
柏レイソル:2016年3月 ミルトン・メンデス監督
ジェフユナイテッド千葉:2016年7月:関塚隆監督
FC東京:2016年7月:城福浩監督
解任された監督の意向や守秘義務があることも理解しますが、だからといって事実の報告しかしないのであれば、どうしても批判を恐れて逃げ腰になっているように映ってしまいます。
せめて、クラブ側の考えとして、現状をどう捉えているか、何が理由で今後どうするために解任したか、くらいは説明すべきでしょう。無味乾燥で読む気がしません。
2.本文&監督の経歴&監督コメント
監督解任のお知らせ、監督の経歴、監督コメントの3つで構成されるリリースです。
退任する監督の気持ちや考えには、ファン・サポーターも強く関心を持っていますから、それに応えることは、先ほどの「1.本文&経歴」とは全く異なる印象を与えます。
ただ、クラブ側の声が聞けないのは、ファン・サポーターにとっては不満に感じるところです。全ての内容を公開することができなくても、せめて解任に到った大まかな理由くらいは説明してしかるべきでしょう。
<例>
清水エスパルス:2014年7月 アフシン・ゴトビ監督
京都サンガF.C.:2014年6月 バドゥ監督
セレッソ大阪:2014年6月 ランコ・ポポヴィッチ監督
SC相模原:2015年11月 辛島啓珠監督
清水エスパルス:2015年8月 大榎克己監督
コンサドーレ札幌:2015年7月 イヴィッツァ・バルバリッチ監督
栃木SC:2015年7月 阪倉裕二監督
京都サンガF.C. :2015年7月 和田昌裕 監督
水戸ホーリーホック:2015年6月 柱谷哲二監督
3.本文&経歴&社長・GMコメント
監督のコメントがなく、社長・GMのコメントがあるフォーマットです。
このフォーマットは非常に珍しく、ファン・サポーターの不満がかなり溜まっていて、クラブに何らかの説明を求める声が強まっている時にのみ現れます。
ジェフユナイテッド千葉が2014年の6月に鈴木淳監督を解任したときと、セレッソ大阪が2014年9月にマルコ・ペッツァイオリ監督を解任したときの2回だけです。
ジェフユナイテッド千葉の場合は、解任タイミングが突然すぎたことから、また、セレッソ大阪の場合は、シーズン2度目の解任だったことから、どうしてもクラブ側からの説明が必要ということで、社長からの説明を掲載したものと思われます。
反対に、監督コメントを載せないのは、クラブに後ろめたさがあるからではないでしょうか。
本文&経歴&監督コメント&社長・GMコメント
最も丁寧なフォーマットから「③監督の写真」を無くしたものです。
内容としては十分ですね。
<例>
ヴァンフォーレ甲府:2015年5月 樋口靖洋監督
カターレ富山:2015年8月 岸野 靖之監督
AC長野パルセイロ:2015年8月 美濃部直彦監督
FC岐阜:2016年7月 ラモス瑠偉監督
監督解任リリースの対策
クラブがオフィシャルサイトに掲載するリリースは、ただ事実として情報を流すだけでは意味がありません。外部からクラブに関わる人達がそのリリースを目にしたときに、クラブに対して前向きな印象をもってもらえるようなものにするべきです。
特に、監督解任のようなネガティヴなニュースの場合ならなおさら、そのような側面に目を向ける必要があります。
とすれば、解任のリリースでは、少なくとも、クラブ側と監督側の両方のコメントがあって、クラブの現状、解任の理由、今後の展望が語られていることが、監督解任のリリースでは必要でしょう。
もちろん、様々な制約があることは間違いありませんが、その中でもできる限り現場の生の声を発信していくことが、ファンやサポーターを惹きつけることにつながると思います。
まとめ
監督解任リリースには、4つのパターンがあります。
簡単に終わらせてしまっているリリースは、印象がよくないので、せめて監督とクラブ、両方のコメントを載せるようにしてもらいたいです。
おまけ
バッテリーを入れ替えたiPhoneの調子がなかなか良いです。
と言っても、最初はこんな感じだったのかも。