週末はフットボールを見て楽しんでいます。国内だけでなく、ヨーロッパの強豪クラブが集うリーグ戦も見られる環境にありますが、最も力が入るのはJリーグです。
「プレミアリーグ」ではなく「Jリーグ」にハマった理由
現在のフットボール界の勢力図は、
プレミアリーグ(イングランド)
ブンデスリーガ(ドイツ)
セリエA(イタリア)
リーガエスパニョーラ(スペイン)
(出典:sportingintelligence
『GLOBAL SPORTS $ALARIES SURV£Y 2014』)
の4つのリーグが中心になっています。
この並びで分かるように、ヨーロッパがメインストリームです。
メッシ、クリスティアーノ・ロナウド、ノイアー、アザール、ルーニー。
それ以外にも、各国の代表選手をずらりと揃え、世界最高のフットボールが毎週末行われています。
「レベルの高いゲームを見たい」
「驚くような技を見たい」
「スターのプレイを見たい」
など、純粋にフットボールの中身だけを楽しむなら、ヨーロッパのリーグ以外選択肢はありません。
ですが、それが見える環境であるのにも関わらず、本気で興奮するのはJリーグ。
もちろん、ヨーロッパのゲームを見ないわけではありません。
チャンピオンズリーグとプレミアリーグを中心に、必ず見てはいるのですが、力の入り方を比べると、Jリーグの方により強い思い入れをして見ているような気がします。
その差はどこから来ているかというと、
「情報の量」と「受け取る情報の”実感”」の違い
です。
ヨーロッパのフットボールは、毎週ゲームが見られるほどに身近になりましたが、それでもまだまだ遠いところにあります。
たとえば、イングランドで言えば、ゲームがあった週の次の月曜には、ゲーム内容を細かく振り返るTV番組があったり、フットボールを扱う新聞(タブロイド含む)も多くあります。
現地にいれば、このようなメディアを通じて、選手の特徴や、クラブの状況、移籍動向、シーズンの見通しなど、多角的かつ大量に情報を得ることができます。
また、クラブの歴史や、選手同士の因縁、スポンサーやオーナーのキャラクター、ファンの気質、など、その場所にいなければ、”リアル”には分からないことも、たくさんあります。
そうなると、日本にいて、TVでゲームを見る場合、
興味が向かうのは、結局のところ、ゲーム内容だけ。
いくらレベルが高くても、そうそう好ゲームがあるわけではありませんから、ゲームの内容だけでは、中々、夢中になるレベルにまでは行きません。
一方で、Jリーグは、日本が現地です。
どのクラブにどんな選手がいるか。
特徴はどうで、どんなクラブでプレーしてきたのか。
クラブにはどんな歴史があり、どんなスポンサーに支えられて、ファンはどんな気質があるのか。
そういった情報が、メディアを通じていくらでも分かります。
また、クラブの所在地や、スポンサーの名前を聞けば、どんな意味合いがあるかが、”実感”として分かります。
北海道、山形、など北国のクラブであれば、雪の影響によるトレーニング環境の厳しさがすぐに分かるでしょうし、
「楽天がスポンサーだよ」と言えば、経済的にどれくらいの影響力があるかが、即座に理解できるでしょう。
Jリーグについて言えば、情報の量、そして、情報を受け取るときの”実感”が、ヨーロッパのリーグとは全く異なるのです。
たとえば、リーグ戦首位のクラブと、残留を争うクラブのゲームがあるとしましょう。
イングランドのプレミアリーグをTVで見るだけの場合、
「チェルシー(超強豪のビッグクラブ)がいつ点を決めるかがポイントで、ゲームは一方的だろうな」
くらいの感覚しか持てません。
それがJリーグの場合、
「新日鉄という大きな親会社を持つ鹿島と、
小さな地元企業に支えられる甲府」
「最新の設備で練習環境も充実した鹿島と、
練習場も転々としなければいけない甲府」
「大金で他クラブから優秀な選手を引き抜ける鹿島と、
限られた予算で、他クラブの主力から外された選手を
集めてきた甲府」
「数々のタイトルを獲得し、目標は優勝以外ない鹿島と、
J1とJ2を何度も行き来して、残留が最大の目標の甲府」
「今年もタイトルを狙える位置にいて、絶対落とせない鹿島
今年も残留争いで、勝ち点を1つでも増やしたい甲府」
など。
ゲーム内容は同じように、「一方的な試合になる」と予想するでしょう。
ですが、二つのクラブの歴史や背景を、ありありと思い描けるかどうかに、大きな違いがでます。
このように、
・情報量が多く
・受け取る情報に実感が伴っている
状況にいると、今度は、その情報を、連続する物語のように捉えるようになります。
こうなると、次のゲーム、次のシーズン、が待ち遠しくなり、選手の動向が気になり始め、経営状況にまで気持ちが及ぶ。
こうして、たくさんの接点が生まれて、”ハマった”状態になるのです。
この、何かに”ハマる”過程というのは、実は、スキルや新しい知識を獲得する過程にも共通しています。
「AKBにハマる」のも「眠たい会計理論を理解する」のも根っこは同じ
スキルや知識が自分のものになった、と感じられるのは、
そのスキルや知識を、必要なときに、即座に引き出して、
スラスラと披露できた時、
でしょう。
どんな知識やスキルでも、最初はただ覚えただけの状態です。
その知識・スキルが、現実の世界にあてはめて考えられるようになったり、実務の現場で、どう使えるかが分かると、”実感”を伴った「リアルな知識・スキル」になります。
「減価償却」という言葉を本で説明されても、ふわふわしていますが、
工場で使うローラーがすり減っているのを見た上で、「減価償却費」を入力するような経験をすると、
製造現場の様子と会計理論が一致して、「リアルな知識」に変わります。
さらに、「リアルな知識」が、今まで習ってきた知識と、どのように繋がるかが分かると、自由に使いこなすことができるようになります。
「減価償却」もよく似た性質のもの、たとえば、「前払費用」と関連させて、
何が同じで、何がどう違うか、
を答えられるようになれば、両方の知識をより深く理解することができます。
このように、知識やスキルを身につける過程でも、
・情報を受け取る
・受け取る情報に”実感”を伴わせる(=リアルな情報にする)
・情報を、連続する物語のように、上手く関連づけできる
の3つが重要になるのです。
学校やセミナーなどで、同じ内容を習っても、
「よく分かった」と感じるときと、「よく分からなかった」と感じるときがあると思います。
その違いは、教え方によって、
・”実感”を伴わせること
・情報を物語のように関連づけさせること
に差が出るからです。
もし、何かを習得するときには、この様な点を上手に伝えてくれる先生を選ぶと良いでしょう。
まとめ
知識・スキルを、「使いこなす」レベルにまで高めるには、”実感”と”関連づけ”が重要です。
新しく何かを習うときにも、その点に気をつけると効率的に習得することができます。
<おまけ>
今年のJ1リーグは、レギュレーションの変更で興味がなくなりました。
Jリーグには発展してもらいたいですが、興味のないものを我慢して見る必要はないですからね。