Excelを自信を持って使えるようになるまでには、かなりの時間がかかりました。上手く使えなかったときと比べて、大きく変わったことは、動きの”型”が身についたことだと思います。
「正しい使い方」が分からないと、積み上げができない
本格的にExcelを使うようになったのは、監査法人で仕事を始めてからです。
最初は、「使っているうちに慣れるよ」という先輩の言葉を信じて、特に何もしてなかったのですが、同じチームのメンバーと仕事のスピードを比べると、自分の仕事があまりに遅いので、「このままでいいのか?」と焦るようになりました。
見よう見まねでやってみますが、使い方は人によって大きく違います。
Excelが得意そうな人に使い方を聞いてもみますが、(誠実にこたえてくれるものの)曖昧な答えしか返ってこず、正解らしきものを持っているわけではないようでした。
「何とかしたい」とは思っていましたが、結局、我流の使い方を繰り返すことに終始。
案の定、使っているうちに、「慣れて、操作が速くなる」という日が来ることはありませんでした。
いくら繰り返し使っても、”正しい使い方”でなければ、何も積み上げることはできないという、当たり前のことが起こっただけですが、自分なりにもがいていた分、つらかったです。
たくさんの時間を浪費しましたが、「このままでは、らちが明かない」と言うことで、専門のセミナーで教わることを決断。
これが、自分のExcelスキルを大きく上達させるきっかけになるのですが、その後の展開を考えると、「もっと早くやっておくべきだった」と、未だに心の底から後悔しています。
セミナーで”型”を習ったことが、スキルアップの転換点
我流でExcelを使っていた時、どんな使い方をしていたかと言うと、たとえば、関数の入力を例に取ると、
まず、関数ウィザードを開いて、
自分が使いたい関数が含まれていそうな分類を選び、
それっぽい関数を探して、
見つけたら、解説に従って順番に入力する、
というやり方でした。
いやー、律儀というか、生真面目というか、面倒なやり方ですよね。
おまけに、解説を見ながらの入力だと、関数やその中身が全く覚えられないという、致命的な欠陥もあり、Excelのスキルアップなど望めないやり方です。
セミナーで習った方法は、それとは全く違っていました。
使いたい関数があれば、関数の頭文字を入力して、
表示されたリストから、入力したい関数を矢印キー(↓)で選び、tabキーで確定。
関数が入力されるので、
関数の要素を直接入力していく
方法です。
我流の、
「関数ウィザードを開いて→関数を探して→見つけて→確定して→指示に従って順番に入力→完了」
の流れと比較するとスピードに違いは明らか。
「浮き輪を付けてバタ足」と「クロール」くらい差が出ます。
関数ウィザードを使う方法は、何かを探しながら入力するため、行き当たりばったりなのに対して、
直接入力する方法は、順番が決まっていて、常に同じパターンで入力することができます。
つまり、入力の手順に”型”があるのです。
セミナーではこれ以外にも”型”(”正しい方法”と言ってもいいですね)を習いましたが、このことによって、「経験を積み上げる」「スキルを高める」ことができるようになったのです。
我流(とは言っても、市販の書籍ではこの方法を解説してたりするんですよ)しか知らなかったExcel初心者にとって、進歩の可能性を感じさせてくれた瞬間でした。
”型”を習うだけでもダメ 反復したトレーニングで「自然に」扱えるようになることが必要
”型”を習ったのは、大きな進歩でしたが、それだけでExcelを使いこなせるようになったわけではありません。
”型”を「身につける」「使いこなす」レベルに引き上げるには、”型”を自然に繰り出せるようにならなければいけないからです。
そのために必要なのは、地味な反復練習。
「反復練習が必要」と言うと、「”型”を仕事で使っていれば、そのうちできるようになる」
と言うことになりそうですが、そうとも言えません。
経理業務を例に取りますが、Excelを使って、どんどん作業していくのは、月次決算の仕事ですが、月次で必要な作業は月に1度しか行いません。
1年積み重ねたとしても、たった12回。
しかも、1度やったことを、次に経験するのは1ヶ月後です。
1ヶ月も間をおいて同じ事をやったとして、果たしてそれが、積み上げになるでしょうか。
プロスポーツ選手が、とっくの昔に習ったはずの”正しい動き”を、日々繰り返し練習していることを考えれば、1ヶ月に1回の本番だけで、スキルが定着すると考えるのは、あまりに楽観的すぎるでしょう(もちろん、人によってはそれで十分ということもありますが、私のような普通の人ではムリです)。
なので、スキルを身につけるのに、「現場の経験」だけに期待するのは間違いです。
スキルを鍛えるために意図的に行う、日々の”反復練習”でスキルを身につけ、その成果を「実務の現場」で発揮することで、自信につなげていく、
というのが、あるべき流れでしょう。
つまり、「現場の経験」以外にも、スキルアップのためのトレーニングをきちんと積む必要があると言うことです。
私も、セミナーで”型”を習ってからは、仕事の後、少なくとも1時間はExcelのスキルアップのためのトレーニングを毎日やっていました。
期間としては、3ヶ月くらいだったと思いますが、そのトレーニングがあって、ようやく自然に”型”を繰り出せるようになったのです。
やっていたのは、セミナーで渡された練習問題。
来る日も来る日も、効率よく正確に問題に答えられるように、Excelの操作を繰り返していました。
退屈だし、苦痛でしたが、それはスキル習得のためには必要な時間だったと考えています。
まとめ
Excelを使いこなすためには、”型”を習うことと、”反復練習”が不可欠です。
「現場の経験」だけでは不十分で、日々スキルアップのための時間を確保する必要があります。
おまけ
私が主催するExcelセミナーでは、第一は受講してくれる皆さんのために、話をしていますが、何%かは、上手くExcelを使えなかった頃の自分に向けても、話しかけているような気がします。