Excelファイルを使った経費分析シートの作成 毎月のデータを更新するだけで効率よく分析ができるシートを目指します

会社を経営していると、毎日の取引を記録しなければいけません。法律上、決められていることなので、仕方ないのですが、せっかく記録したデータも決算書作成のためだけに使うのはもったいないです。会計記録は、経営上の課題を把握するために使う、経営分析にも役立てることもできます。ここでは、経費分析を例にして、効率的に経営分析を行うためのExcelファイルの作成を考えます。

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おおまかな流れ

今回は、このようなファイルの作成を目指します。

 

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手順は次の通りです。

 
1.その月の経費データのエクスポート
 
2.データの形式を整理
 
3.ピボットテーブルで項目ごとの金額を集計 

 
4.SUMIF関数で、金額を分析シートに転記

 
5.増減額、増減率の式を入力

 
ただ、3.以降は最初だけで、2回目からはデータの更新をするだけで分析結果まで表示されるようになります。

 
ファイルを作ってみます。

 

 

具体的な作成手順

順番に見ていきましょう。
 

1.その月の経費データのエクスポート

まず、分析したい経費データを会計ソフトからエクスポートします。

 
なお、Excelで経費管理をされている方や、Excelから経費データを会計ソフトにインポートしている方は、この手続は不要ですので、「2.データの形式を整理」にお進み下さい。

 
ご利用になっている会計ソフトによって手順は異なりますが、通常は、勘定科目を指定してエクスポートすることになると思いますが、難しければ取引全体をエクスポートしても構いません。

 
Excel上で必要分析したいデータだけを取り出せば問題ありませんので、まずは、その月のデータを漏れなくExcelにエクスポートします。

 

2.データの形式を整理

今回のファイル作成で最も重要なのがこの作業です。

 
会計ソフトからエクスポートしたデータは、仕訳の形で出力されていると思いますが、

 

スクリーンショット 2015 03 13 10 53 45

 
ポイントは、毎月同じレイアウトでデータを整理すること。

 
フォントやセルの幅などは、どのような形でも構わないのですが、

 
どの列に、何が入力されるか

 
については、必ず統一するようにします。

 
上の画面では、
A列:日付
B列:借方の勘定科目
C列:借方の摘要
D列:消費税
E列:借方の金額

 
といったことです。

 
会計ソフトからエクスポートすれば、自然に同じ形になるのであればそれでOKですし、

 
Excelで入力されている場合は、毎月同じ形式のシートを使って入力していけば問題ありません。

 
もし、会計データからのエクスポートで使っているレイアウトが一定でなかったり、見やすさなどの観点から、Excelシートのレイアウトを変えているような場合には、

 
どこかのタイミングでレイアウトを決めて、それ以降は変更しないようにします。

 
なぜ、データのレイアウトを統一しなければいけないかというと、この後ピボットテーブルで数値を集計していきますが、毎月ピボットテーブルの作業を行わなくても、データの更新だけで、分析シートを完成させられるからです。

 
毎月の作業を効率的に行うために、データのレイアウトを統一すると考えて下さい。

 

3.ピボットテーブルで項目ごとの金額を集計

2.で整理されたデータをピボットテーブルで集計します。

 
先ほど作成した経費のデータが入力されたシートを開いて、「挿入タブ」から「ピボットテーブル」をクリックすると、「ピボットテーブルの作成」画面が開きます。

 

スクリーンショット 2015 03 13 11 07 06

 
まず、「テーブルまたは範囲を選択」ですが、これは、データが入力されている列全体を指定します。

 

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たとえば、経費データがこのように入力されていたら、

 

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「A列」から「I列」まで入力されているので、「$A:$I」のように指定します。

 
ピボットテーブルは、連続してデータが入力されている範囲を、自動で指定してくれるので便利ですが、どの範囲までデータが入力されるかは、月によって異なります。

 
先月よりも、取引の数が多く、より多くの行にデータが入力されていたら、前の月と同じ範囲を指定してしまうと、集計範囲に漏れが出ることになってしまいます。

 
そのような集計範囲の漏れを無くすために、データの範囲が広くなった時のことを想定して、列ごと指定しておくのです。

 
次に「ピボットテーブルを配置する場所を指定して下さい」ですが、これは「新規ワークシート」を選びます。

 
すると、このように表示されるので、

 

スクリーンショット 2015 03 13 11 26 21

 
右側に出てくる「ピボットテーブルのフィールド」から、

 

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「行」に勘定科目が入力されている項目(上のシートでは「借方」)

 
「値」に金額が入力されている項目(上のシートでは「借方金額」)
 
をドラッグ&ドロップ。

 

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このままだと、金額のところが「データの個数」になっているので、「▼」をクリックして「値フィールドの設定」をクリック。

 

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「値フィールドの設定」画面が開くので、「値フィールドの集計」から「合計」を選んで「OK」をクリック。

 

スクリーンショット 2015 03 13 11 27 07

 
すると、

 

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このように、各科目の金額が集計されます。

 
「▼」をクリックするとフィルターが使えるので、

 

スクリーンショット 2015 03 13 11 37 08

 
この中から、経費分析したい科目を選択すると、

 

スクリーンショット 2015 03 13 11 39 15

 
このように整理できます。

 
同様に、「貸方」の科目についてもピボットテーブルで集計します。

 
やり方は「借方」の場合と同じですが、「ピボットテーブルを配置する場所を指定して下さい」にだけ注意して下さい。

 
「借方」の科目を集計したピボットテーブルと同じシートに並ぶように指定します。

 

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「ピボットテーブルを配置する場所を指定して下さい」のところで、配置したいセルにカーソルを合わせてクリックすればOKです。

 
すると、「借方」「貸方」の集計結果が同じシートで並ぶことになります。

 

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次は、この合計額を、前月の金額と比較できるように転記します。

 

4.SUMIF関数で、金額を分析シートに転記

分析シートで次のような表を作ります。

 

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左端から、「勘定科目」「当月の金額」「前月の金額」「増減額」「増減率」、になっています。

 
まず、勘定科目は、分析したい経費項目を並べます。 
全ての項目を並べたい場合は、先ほど作ったピボットテーブルから、項目をコピーしてはりつければOKです。

 

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次に当月の金額です。これは、先ほど集計したピボットテーブルのシートからSUMIF関数を使って転記します。

 
SUMIF関数は次のような要素でできています。

 
①データを調査する範囲
 
②探したいデータ
 
③データが見つかった時に、どの範囲の数値を合計するか

 
この3点です。

 
たとえば、「リース料」を転記することを考えましょう。

 
「①データを調査する範囲」はピボットテーブルで集計したシートの、勘定科目が並んでいる列です。

 

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この列(A列)を調査して、「リース料」があるかどうかを確かめることになるので、この列を指定します。

 
ピボットテーブルを作成したシートの名前を「201505」にしているので、「シート名+列番号」で指定すると、

 
‘2015015’!$A:$A

 
になります。

 
探すのは「リース料」ですが、これは、B列に入力されている、表の項目に合わせて指定するようにしたいので、

 

スクリーンショット 2015 03 13 12 05 32

 
B5

 
になります。

 
「どの範囲の数値を合計するか」は、ピボットテーブルのあるシートで金額が入力されている列(B列)を指定。

 

スクリーンショット 2015 03 13 12 09 26

 
ピボットテーブルを作成したシートの名前を「201505」にしているので、「シート名+列番号」で指定すると、

 

‘2015015’!$B:$B

 
となります。

まとめると、

 
=SUMIF(①’201505′!$A:$A, ②B5, ③’201505′!$B:$B)

 
このようになります。

 
ただし、これは借方を合計しただけです。

 
場合によっては、修正仕訳が入るなどの事情によって、貸方にも経費項目が入力されていることがあります。

 
そのため、貸方についても同様に転記して、借方の金額からマイナスする必要があります。

 
SUMIF関数の作り方については全く同じなので、

 
=SUMIF(①’201505′!$A:$A, ②B5, ③’201505′!$B:$B)
nbsp;
-SUMIF(①’2015015′!$D:$D, ②B5, ③’2015015′!$E:$E)
(”ー”以下が貸方)

 
として転記します。

 
これは、前月分も同様なので、同じようにして前月分も合わせて集計すると、

 

スクリーンショット 2015 03 13 12 18 16

 
このようになります。

 
あとは、増減額と増減率の式を入力するだけです。

 

5.増減額、増減率の式を入力

最後に、増減額、増減率の式を入力します。

 

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増減額は、引き算

 
増減率は、前月の金額をベースにして考えるので、増減額を分子、前月の額を分母、にした割り算。

 

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表示をパーセンテージにすると、

 

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こうなります。

 
あとは、この式の入ったセルをコピーして、数式を貼り付け。

 

スクリーンショット 2015 03 13 12 25 08

 
すると、

 

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経費の分析表が完成しました。

 

 

経費の分析表のキモは、データを更新するだけで今月分のファイルが完成すること

ようやく分析表が完成しました。

 
ただし、これだけ時間がかかるのは最初だけ。 
翌月以降は、データを更新するだけで、自動的に分析シートができあがります。

 
具体的には、2015年6月分を作成する場合は、2015年5月のファイルをコピーして、ファイルの中身を6月分になるように、入力内容を更新します。

 
シート名を変え、

 

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(「201505」から「201506」へ)

 
シート内の「月」の表示を5月から6月に変更し、 
金額も、前月(5月)の金額を値で貼り付けます。

 

スクリーンショット 2015 03 13 12 35 14

 
これで下準備は完了です。

 
先月(5月)のデータが入っていたシートに、当月のデータを貼り付けて、

 

スクリーンショット 2015 03 13 12 42 23

 
ピボットテーブルのシートで、「データ」タブから「すべて更新」をクリックして、「すべて更新(A)」を選ぶと、

 

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6月分のデータに更新されます。

 
その結果は、分析シートにも反映されますから、

 

スクリーンショット 2015 03 13 12 49 03

 
自動的に、当月分の分析シートができあがることになります。

 
前月分から当月分への繰り越し作業と、データの更新は機械的に行うことができますから、一から分析シートを作る場合と比べると作業はかなりラクになります。

 

 

まとめ

ピボットテーブルとSUMIF関数を組み合わせて、経費の分析シートを作る事で、毎月データを更新するだけで、その月の経費分析シートを作る事ができます。 
作業の効率化でできた時間は内容の分析に充てて、質の高い分析を行えるようにしましょう。
 
<おまけ>
土鍋を使って雑炊を作ったのですが、すぐに焦げ付いてダメですね。 
火加減をもっと慎重にします。

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