経理、財務、税務などの仕事で、毎日Excelを使っています。私が、実務の中でExcel関数を使う時に、上手く使いこなすために必要と感じていることを、見ていきます。
Excel関数は組み合わせて使う ただし、一つ一つの関数を正しく理解していることが前提です
実務で使っているExcel関数といっても、よく使うものは、それほど多くありません。
せいぜい30くらいではないでしょうか。
30くらいであれば、大変ではありますが、身につけることは、そう難しくはありません。
それなら、30の関数を覚えれば、Excel関数が自在に使いこなせるかと言えばそうとも言えません。
本当に”実務で使える”ようにするには、それを「正しく理解」して、「どう組み合わせるか」の力を身につけなければいけないからです。
受験でも資格試験でも構わないのですが、「難しい」と感じた試験のことを思い出してみて下さい。
「難しい」と感じた試験のあとで、解答を確認したとき、「何だこんなことか」と思ったことはないでしょうか。
それは、必要な知識は、普段からよく使っているものだけなのに、それが2つ、3つと重なることで、問題が複雑になって、難易度が急激に上がった結果、起こることです。
Excelでも同じようなことが起こります。
「経理や財務で使う資料作成を依頼された」
「Excelで使える関数はある程度分かっている」
「でも、どうすれば見やすく分かりやすい資料になるかをイメージできない」
というケースがあります。
そんな時、過去の担当者が作ったファイルを見せてもらうと、自分の知っている関数やマクロだけで、分かりやすい資料を作っていたりするのです。
(私にもよくありました。もちろん勉強になるのですが、無力を感じる瞬間でもあります)
「使う関数は限られていて、自分もそれを知っている」
「なのに、それを使って思うような資料を作ることができない」
これは、
「Excel関数を組み合わせる発想」
と、その1歩手前にある
「組み合わせることを前提にした関数の理解」
が不十分であることが原因です。
ただ、別の見方をすれば、ある程度の知識はすでにあるのですから、ここを磨けば、すぐに使いこなせるようになるということでもあります。
「実務で使える」ことを目標にするなら、まずは、よく使う関数について、「組み合わせることを前提にした関数の理解」を目指すことになります。
組み合わせることを前提にした関数の理解
「組み合わせることを前提にした関数の理解」で大切なのは、
1.関数でできること
2.関数の構成要素
3.組み合わせが使えるポイント
この3点を明確にしておくことです。
「1.関数でできること」は、求められる資料を作るのに、
どの関数を使うかという、最も重要な判断のために必要な知識です。
これをおさえておけば、求められる資料の説明を聞いた時点で、大まかな方向性をイメージすることができ、迷い無く作業に取りかかることができます。
この、「何を使うか」が正しく判断できることが、「実務で使える」という実感を伴ってExcelを使えるかどうかに大きく影響します。
「2.関数の構成要素」は、関数を使うのに入力する要素のこと。
これは、正確に入力内容や入力の順番を覚えておくというよりも、
関数がどのような動きをするか、
たとえば、COUNTA関数なら、
「指定した範囲を縦に調査して、データが入力されているセルを数える」
といった動きのイメージを把握しておいて、
あとは、関数のガイドに合わせて、入力すればOKです。
大事なのは、関数の動きのイメージを知っておいて、それに合わせて「何を入力すればよいかを思い出せること」です。
「3.組み合わせが使えるポイント」は、「2.関数の構成要素」のうち、他の関数に置き換えることで、応用的な使い方ができるもののことです。
これを知っていることで、常に「関数を組み合わせて使う」という発想を持ちながら、Excelを使いこなせるようになります。
具体的に見ておきましょう。
実務でよく使う、SUM関数を例にして確認します。
1.関数でできること
=指定した範囲をたし算する
2.関数の構成要素
=範囲指定
3.組み合わせが使えるポイント
=範囲指定の方法で、OFFSET関数やINDIRECT関数が使える
1.は「指定した範囲を合計する」でも、まとめ方としてはいいのですが、もう少し詳しく「足し算する」というところまで落とし込んでおくと、なお良いです。
というのも、Excel関数を説明するのに「集計」や「合計」という言葉が使われがちなのですが、それだと、実際にExcelで何をしているのかという実感が弱くなってしまいます。
「SUM関数は、足し算をしている」と理解していれば、
「あれ、かけ算、割り算の関数ってないのかな」
「平均は、AVERAGE関数か。じゃ、どんな計算してるんだろう」など、具体的なところにまで意識が行き渡って、実感が伴った知識になるからです。
2.はシンプルで「範囲指定」のみです。
指定した範囲を上から順番に足し算していく「動きのイメージ」を持つと良いでしょう。
3.は、範囲指定について、関数の組み合わせが考えられます。
OFFSET関数は、範囲指定と、範囲指定の起点になるセルの移動を組み合わせた関数ですので、集計範囲が変動するような場合に使えますし、
INDIRECT関数は、セル範囲に名前をつけることで、文字列(文字データ)によってセル範囲を指定することを可能にする関数です。
このような関数を使って、範囲指定が柔軟に行えることを、おさえておきます。
ボリュームが大きくなりすぎるので、詳細は説明できませんが、範囲指定の所については、セル番号や、列番号、以外にも、関数を使って指定することができる、という事実を知っておくだけで、関数を組み合わせる発想に繋がってきます。
このように、関数で何ができるか、だけでなく、
関数を入力すると、Excelがどのような動きをしているか
関数のどの部分で組み合わせが使えるか
まで、含めた理解ができれば、実務の現場で無理なく「組み合わせて使う」ことができるようになります。
まとめ
Excel関数を実務で使うためには、関数を組み合わせて使う発想が不可欠です。
そのためには、理解の仕方にも工夫が必要で、何ができるかを覚えるだけでなく、Excelの動きや、どの部分で組み合わせが使えるかもイメージできるように理解する必要があります。
<おまけ>
毎月開催している「実務で使えるExcelセミナー 基礎編」でも、関数については、この辺の知識を掘り下げて説明しています。